オーダーメイドの結婚指輪・マリッジリングの彫金日誌です。taxonomy-blogu-php
先代からのお得意様が来られました。ビニール袋に入ったたくさんの真珠を持ってきて「姪っ子にあげようと思うからこの中から良いのを使ってピアスを二組作って!」と頼まれました。ここ徳島では昔、真珠の養殖なども盛んだったようでそのとき残った物をたくさん持っているらしいのです。その一部を持ってきてのご注文です。
大きさがバラバラで色もそろっているのがなかったのですが何とか良く似たものを二組抜粋しました。
K18でのご注文です。まず事前に作り置きしているK18の直径0.8mm丸線でピアスの芯を作ります。適当な丸線がなければその都度作ります。丸線の作り方は機会があればまたご紹介します。
丸線をピアスの芯の長さ(約10mm)にカットしてキャッチが止まるミゾをヤスリで作ります。
二組分作った物がこれです。同じ長さでミゾの位置もキレイに揃えます。
次に芯にパールを固定するための、おわんのようなパーツを作ります。板状のパーツに芯を通すための穴を開けます。その穴の位置決めをしています。
芯の太さ0.8mmのドリルで穴を開けていきます。
穴を開けた物をハサミでちょきんとカット!
この小さいパーツをヤスリでキレイに丸くします。とっても小さいCDのような形です。
CDのようなパーツを少しおわん型にする作業です。
CDのようなパーツを芯に通してロー付けします。パーツが細かいのでロー付けの際、気をつけないとパーツ全体が高温になりすぎて溶けてしまいます。
ロー付けした物をキレイに磨きます。
パールをのり付けするために固定します。
パール用接着剤を付けてパールを差し込んで動かないように半日ほど乾かします。
これで完成です!パールの色が多少違いますが余ったパールを使うので仕方がないと、お客様のご了承済です。
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今日は店頭で販売しておりますオリジナルデザインリングが出来上がるまでの行程をご紹介します。この写真はゴム型から採った原型をホワイトゴールドで鋳造した物です。当店で販売しておりますホワイトゴールドのリングは純金にパラジウムのみを25%割り込んだ地金を使用しております。パラジウム25%の地金は白色の発色が良くメッキを掛けなくても白く光っております。パラジウムは割金の中でも高価な金属で、製作コストがかかるのですがリングのクオリティーを上げるためにパラ25%の地金を使用しております。
一時ホワイトゴールドはメッキがはげると黄色い金の色が出てくるので余りよい金属では無い。といったイメージがありましたが、それは一部の製造メーカーがリングの製作コストを抑えるためパラジウムの代わりにシルバーを大量に混ぜ込んだりした物を製品にしていたからです。当店のオリジナルリングは全てパラ25%の地金を使用しておりますのでそのようなことは全くありませんのでご安心下さい。
指輪にはダイヤモンドを彫り留めにする予定なので指輪をヤスリ掛けし、キサゲと呼ばれる工具で光沢仕上げの一歩手前まで仕上げておきます。この後、ダイヤを留める位置決めをし下穴を開けております。
職人さんによって行程の順番が多少違うと思うのですが私は下穴を開けた後すぐに、ダイヤの縁取りのためのラインをタガネで彫っておきます。
下穴を開けた場所にストーンセッティングという先端工具で留めるダイヤの大きさまで穴を大きくします。
次に、ダイヤを留める爪をタガネで切り落として作ります。
ダイヤを置いて割りタガネで地金を割り起こしてダイヤにかぶさるように爪で留めていきます。
ダイヤをキレイに留めてから刻印等を入れるために指輪をヤニ台に固定します。
刻印を入れているところです。
キレイにバフ掛けをして磨きます。パラ25%の地金はそのままでもキレイな白色をしていますが、白色の発色をよりキレイに見せるために薄くロジウムメッキを掛けます。
キレイに仕上がりました。同じように全てのリングを仕上げていきます。
今回この3種類店頭に並べています。全てK18ホワイトゴールドで製作しました。
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今日、新型の彫刻機による彫刻の見本が届きました。現在当店ではオリジナルのマーク、字体の彫刻にはレーザー彫刻で彫っているのですが、新たに全く違う方法での内側彫刻方法を検討しております。これが練習用の真鍮リングに彫ってみた見本なのですがレーザーでマーキングするぐらいの精度があります。本来、この彫刻機で彫れるのはパソコンで使われるフォント(字体)しか彫れないらしいのでオリジナルのマークなどは彫れません。
しかし、私が考案した方法ならオリジナルのマーク、字体など何でも彫れます。この方法は彫刻機のメーカーでも試したことがなかったようなのですが、私が考案して、彫刻できるかどうかメーカーに協力を依頼して試していただきました。
色々試していただいた結果うまく彫刻が出来ることがわかりました。写真の練習用真鍮リングは幅が3mmなのでクローバーの彫刻は1.5mm角ぐらいの大きさです。かなり小さい物でも彫刻が可能です。また、レーザー彫刻と違ってダイヤモンドの刃先で実際に彫るので彫った彫り跡がキラキラしてキレイに見えるのが特徴です。
レーザーにはレーザーの良いところがあって、ミクロン単位で顕微鏡で見ないと見えないぐらいの小さい彫刻が出来るのと、深掘りが出来るのがメリットです。どちらも一長一短があるので使い分けて行きたいと思います。新型の彫刻機はまだメーカーが未発表の物なので、導入は今年の秋、冬頃に予定しています。
先日ブログにUPしたワックスツリーを実際に鋳造した物です。今回の鋳造では鋳肌もかなりキレイで表面に巣のような物も見あたりません。かなり良いできだと思います。向こう側がプラチナで、手前がピンクゴールドです。
今回のプラチナ鋳造時に改善した点をまとめました。
・用意する地金は、完全溶解しても黄白色のまま加熱を続け、1~2分完全溶解した状態を保った後、加熱を止める。
・冷えた地金の中央に窪みが出るようになるまで繰り返す。
・電気炉は鋳造温度の状態を最低1時間保持する。
・鋳造機で地金を溶解湯にする際、真空状態で完全溶解後1~2分黄白色の状態(出来るだけ高温)を保った後流し込む。
・ワックスツリーにガス抜きベントを付ける。
ベントの場所、必要性は未確認ですがとりあえず今回はうまくいきました。
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6月に入って日中は本当に暑く感じるようになりました。
店内では照明をたくさん使っているのでとても暑くてエアコン無しではいられません。早い物で今年も半分終わったのだと思い、忙しく過ごしているので1日がとても短く感じます。
こちらは通常宝石店などで使われているリングゲージです。指のサイズを測る物ですが、向かって右側が通常の3mm幅のリングゲージで、左側が7mm幅のチョット特殊な物です。店頭にこられたお客様の指のサイズをこれらで測るのですが、5mm幅の指輪をお客様の指にピッタリ合わせるのには中途半端でこれらではしっかり測れずにいました。5mm幅ぐらいのリングゲージがあったらいいのにと、日頃思っておりましたが、市販の物では無いので思い切って作ってみました。
全てのサイズを作ってはいないのですが5mm幅の指輪をシルバーで11サイズ分作りました。これを使ってある程度はしっかり測ることが出来ると思います。
こちらは埋没前のオーダーメイドの指輪の原型ですが、今までと違ってベントと言われるガス抜きの為の細いワイヤーワックスをツリーに付けてみました。鋳肌をキレイにすることは仕上げの時間を短縮でき、作業の効率化には欠かせません。
シルバー、K18YGではあまり表面が荒れないのですが、プラチナの鋳造は結構難しく、埋没材、焼却行程、ワックス構造などに鋳肌の仕上がりに深く関わっています。
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電気炉の煙突部分にアフターバーナーという排煙ガスを再燃焼させ煙や臭いを出なくするという物を取り付けました。今日までは窓を開けて換気扇を廻すといったことで煙を屋外に逃がしていたのですが、先日電気炉に取り付けた温度管理コントローラーで自動運転が出来るようになったことから、夜中に電気炉のスイッチを自動で入るようにし、翌日の午前中には鋳造を出来るようにしています。その為窓を開けっ放しにするのはセキュリティー上良くないので、夜間でも煙対策を出来るようにしなければいけなかったのです。以前から欲しかった物で、10万円ほどする物ですが思い切って購入することにしました。臭いは完全にはなくなりませんが煙はかなり軽減されています。
さっそく鋳造リングをセットし、電気炉を運転させました。
電気炉内は400℃になりました。この時点で通常は煙は相当出るのですがアフターバーナーのおかげでかなり助かります。これのおかげで暑い夏場、寒い冬でも窓を開けなくて済むので、作業場の中はエアコンが効いて快適に作業が出来るようになる事と思います。
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電気炉の温度管理のためプログラム温度コントローラーを購入しました。
包装をあけて箱から出したところです。電気炉でワックス原型を埋没した鋳造リングを焼き固めるのですがその行程がプログラム管理できる物です。今までは、鋳造リングを焼く場合150℃で1時間保持し、250℃で1時間保持したりと電気炉につきっきりで手作業で時間を見計らって行っていたのですが正確な温度管理とこの手間を省くために購入しました。これがあれば朝スイッチを入れておくだけで夕方には焼き上がっているので後は鋳造するだけです。
この機械を電気炉に取り付けるために電気炉を一旦ばらして配線等を自分で繋ぎました。
スイッチを入れるとデジタル表示で炉内の温度が表示されています。現在13℃のようです。
配線が正確に行われているか確認するため炉内の温度センサーをライターで熱してみました。
少しあぶっただけで126℃になりました。つなぎ方も間違えてなくて感度も良いようです。一安心です。後は温度管理プログラムを組み込みました。今後の鋳造作業が楽しみになりました。
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彫刻の見本を何種類か作りました。伝統的な桜、唐草、メルヘンな雪の結晶などを作りましたのでアップいたします。リングの形状は曲面なのでリングのカーブに添って掘り進みながらタガネの角度を調整します。一つ間違えるとタガネがリング表面をすべってキズが入ります。かなり難しい技です。
これは雪の結晶リングに彫った一番小さい結晶です。一緒に写っているのはシャープペンの芯です。芯の直径は0.5mmなので結晶の一番太い線でも0.2mm位の太さでしょうか?グレーバーを使い出して2週間足らずですがここまで彫れるようになりました。和彫りをやっていて良かったと痛感させられます。(^^;)v
こちらはレーザーマーキングでリングの内側にマーキングを施したリングの見本です。これはこれですばらしい機械です。手彫りでは彫れないような物がレーザーで彫れるのだからマシンの進歩もすばらしいです。
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ある程度平面に彫刻できるようになればリングに彫れるようにしなくてはいけません。
ホームセンターで真鍮のリング素材か、真鍮パイプを探しましたが適当な直径の物が見つからずネットを検索しても見つからないので真鍮板を切り出して真鍮リングを作ることにしました。
徳島県は田舎なので私が使うような特殊な工具、素材があまり見つかりません。大阪、東京に出張に出かけたときにまとめて購入するのですが、それ以外はもっぱらネットで探しています。
写真は切り出した板を丸めてリング状にし、アーク溶接機でつなぎ目を溶接しているところです。
で、出来上がったのがこの写真。練習用なのでつなぎ目を仕上げせずにこのまま使います。
たくさん出来上がりました。
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昨日から洋彫りの練習をずっとしていましたが、どうも彫り跡、彫り具合などがしっくりいかずタガネを研磨し直すことにしました。
まず気になったのはタガネ先端の刃の角度です。マニュアル通りの角度ではどうも彫りにくいので角度を自分なりに変えてみました。地金に面する方の角度を15°から20°にしてみました。何となく良い感じで彫れたので20°に統一することにしました。
次に気になったのは彫った跡の光具合。和彫りだと真鍮板に彫った彫り跡はピカピカに光っているのですが、洋彫りだと和彫りのような光沢が出ません。彫り跡に光沢が出る仕組みは刃先の地金に面した部分が、ヘラの役割をして光沢が出るみたいなのですが、同じタガネを使い、金槌でたたいた物とグレーバーで彫った物とでは明らかに光り具合が違います。刃先の角度を変えたり、彫り方を変えたりしましたが、どうもうまくいきません。
試しに和彫りように研いだタガネをグレーバーに付けて和彫りの彫り方、彫る角度で彫ったところグレーバーでは光沢が出ないことが解りました。さ~て困ったぞ・・・。彫り跡がキレイでなければ商品になりません。
さんざん試行錯誤したあげく、気晴らしにプラチナに彫りを入れてみました。プラチナは高価なので今まで試し彫りをしなかったのですが驚いたことに彫り跡がとてもキレイに光っていました。どうも地金の方に問題があったようです。真鍮は金、プラチナに比べて固いので刃先がヘラのような効果を出すにはグレーバーでは非力だったようです。今日は刃先を研ぐばかりで終わってしまいました。
問題が解決したので後は集中して練習に専念します。
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