オーダーメイドの結婚指輪・マリッジリングの彫金日誌です。archive-diary-php
オーダーメイドマリッジリングを製作するためプラチナ地金が足りなくなると注文して取り寄せます。現在の相場はかなり高めですが、たくさん必要なので50g注文し、本日届きました。
鋳造する地金を用意するためデジタル秤で量ります。この秤はネットで購入した物です。価格は安いのですが0.001g単位で重さが量れる優れものです。この秤で地金と割金の量を正確に量り、指輪用のプラチナ、金などの地金を作ります。モードを変えるとカラット秤にもなるのでダイヤモンドなどの石目の計測などにも使用できます。相当昔ですが私の修業時代ではこういった物はなく、かなりアナログな上皿天秤を使っていました。
こちらがその上皿天秤です。現在は工房の片隅でホコリをかぶっています。長年使っていた物なので愛着があって捨てられません。使うことは無いと思いますが置いておきます。
本日一組のプラチナマリッジリングの鋳造をしました。鋳造だけして仕上がっていない指輪がまだたくさんあるのですが、効率よく合間に鋳造作業をします。今回も巣は全くないと言っていいほどキレイに鋳造しあがりました。巣があると仕上げの作業に手間がかかるので巣が出来ないように慎重に鋳造をしています。
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このダイヤモンドは0.2ctのネックレスのトップ部分です。現在は3本の爪で留められていますが、この石座をオーソドックスな6本爪に作りかえる依頼を頂きました。
まず、石座の基になる部分をプラチナで作ります。薄い板状のプラチナをダイヤのガードルの大きさに合わせて丸めてロー付けします。
あまりに小さいパーツなのでそこの部分にプラチナの丸棒を溶接し、ピンバイスにセットできるようにしています。糸ノコで6つの爪になるように切れ目を入れます。
切れ目を入れた部分にヤスリをかけて爪の先が細くなるように成型します。
ヤットコか、矢坊主で均等に外側に広げます。ダイヤのガードルと同じ大きさのストーンセッティングで削ってダイヤが中心にのるようにします。
ダイヤを載せて確認。ダイヤが傾いていないか要注意!
チェーンを通すパーツをロー付けしてから、ダイヤを石留めします。お客様の要望で爪はなるべく小さくしています。
ストーンセッティングです。通常は、直径0.25mm刻みでしか販売されていませんが、自分で直径が0.05mm刻みになるように作っています。
キレイにバフ掛けし、仕上げていきます。
かわいらしい6本爪のプチネックレスの完成です。
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先日オーダー注文いただいたダイヤモンドエンゲージリングの製造過程を簡単にご紹介します。
ダイヤモンドの重さは0.302ctグレードはVVS1、カラーはF、カットはエクセレントカットのハート&アローの0.3ctクラスでは最上級と言えるダイヤを使ってのオーダーメイドです。
こちらはワックスの原型です。立て爪ではなく両端からダイヤを抱え込むような留めのリングです。
プラチナで鋳造直後の写真です。巣もなくキレイに出来ました。
ヤスリ掛けし形を整えていきます。ダイヤが収まるように石座を広げていきます。
ダイヤをセットしています。
セットしたダイヤをタガネで伏せ込んで留めていきます。タガネがダイヤにあたるとダイヤといえどカケたり、割れるので慎重に留めていきます。
仕上がりの写真です。曇りなくバフ掛けをし、シンプルでダイヤモンドの輝きを引き立たせるデザインです。
キレイなので数カット写真を載せておきます。オーダーの注文をかなり承っていて本当に忙しいのですが無事、期日までに仕上がり納品できました。
【お知らせ】
現在、秋口に納品予定のオーダーメイドマリッジリングの注文を多数承っておりますので、ご注文いただいてから出来上がりまで1ヶ月ほど頂いております。お盆過ぎから注文が一層増える可能性が有りますので9月~10月頃の挙式予定の方で、オーダーメイドをお考えの方はお早めにご相談下さい。
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昨日は台風でお店を閉めていたので彫金作業だけを効率よく進めることが出来ました。今日はワックスツリーの埋没作業をご紹介します。いつものように指輪のワックス原型をツリー状にセットします。
鋳造リングをかぶせて固定します。
こちらが埋没材です。水との比率が決まっているので秤で正確に量を測っておきます。
ミキシングボールと言うゴム製のボールに水を入れ先ほど量った埋没材を入れて溶いていきます。プラチナ用の埋没材は金、シルバーと違って石膏ではありません。石膏だと2000℃のプラチナ溶湯があたるとガスが発生し良くありません。ですからプラチナ用の特別な埋没剤を使います。
水で溶いた埋没剤を真空脱泡器という機械に入れて真空に近い状態にし、埋没剤の気泡を完全に除去します。
余談ですが日常の気圧(1気圧)では水は100℃で沸騰しますが気圧が下がると低温でも沸騰します。真空脱泡器によって気圧を下げると埋没剤が沸騰し、中の気泡が抜けると言う具合です。強力な真空ポンプを使って水を完全な真空状態の中に入れると沸騰して、熱を放出し、最後には氷になるのを見たことがあります。沸騰して氷になるとは何とも不思議です。だから宇宙空間では水はすべて氷の固体になっているようです。
気泡を抜いた埋没剤を鋳造リングに流し込みます。
今度は鋳造リングごと真空脱泡器にかけて2次脱泡をおこない完全に気泡を無くします。
プラチナで鋳造した直後です。キレイにツリーから切り離して6本のマリッジリングが出来上がりました。この後丁寧に仕上げていきます。
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本日出来上がったマリッジリングはとってもシンプルなマリッジリングです。どこにでもありそうと思いきや、こちらのお客様は色々な宝石店を廻られたのですが意外とこのデザインの指輪が無く、当店でオーダーいただくことになりました。
細身の甲丸リングですが普通の甲丸リングより肉厚で、コロンとした感じのRをしています。レディスにはダイヤモンドを1石留めて、内側にはそれぞれサムシングブルーの伝説にちなんだサファイアを留めています。
今回は鋳造をせず鍛冶屋のごとく、すべて手作りで丹精込めて作りました。プラチナ地金をかまぼこ形に成型し、丸く曲げてリング状にしました。
つなぎ目を共付けによりロー目が出ないようにしています。これをヤスリ等で仕上げていきます。
レディスとメンズのサイズ差がかなりあり、重ねるとメンズリングの内側にすっぽりとレディスリングが入ってしまい、さらにすき間が空くほど大きさに差があります。メンズのサイズは既製品でも特注になるサイズでどこの宝石店でも出来上がりまで1ヶ月かかるサイズです。しかし、当店では通常サイズでも特注サイズでも作ることに代わりがないので混み合って無ければ10日ほどで出来上がります。この点でも当店でオーダーする決め手になったそうです。
レディスにダイヤモンドを留めているところです。
内側にはサファイアを留めます。
キレイに仕上げて刻印も入れました。
お二人の幸せが続きますように心を込めて作りました。末永くお幸せに!
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今回のお客様はかなり遠方で、東京都からお電話をいただき、色々相談しながらご希望のデザインを提案いたしました。挙式の日も押し迫った状態でのご相談でしたので少し焦りましたが、タイミング良く他の方のご注文が少ない時期でしたので何とか間に合わせることが出来ました。お二人のご希望でレディスには「S」、メンズには「K」のイニシャルをアレンジしてデザインいたしました。イニシャルの部分を合わせるとハートのモチーフが浮き出ます。
ワックスの原型を製作し、ツリーを作って埋没前の状態です。今回、ベントの位置を少し変えてみました。一番左の指輪の一番肉厚になる部分にベントとなるスプルーワックスを付けました。
プラチナで鋳造直後の写真です。ベントの位置が良かったのか鋳肌はかなりキレイで、巣も全くない状態で出来上がりました。今回は納期の関係で絶対に失敗は許されない状態での鋳造でしたのでかなり集中しての作業でした。
鋳造がうまくいったため大幅に仕上げの作業時間の削減が出来ました。全体をキレイに仕上げてからつや消しの処理をして、お花の彫刻を再度に施しました。彫刻も失敗できないのでかなり緊張しました。
2つの指輪のサイズにかなり差があるため、模様を合わせるのはチョット難しかったですが、彫金歴十数年の技術でこなせます。
遠方からのご注文でしたのでお顔を拝見することが出来ませんでしたが、きっとこの指輪の似合うお二人だと思います。末永くお幸せに!
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6月に結婚式を挙げられる方が多いので4月、5月がマリッジリングのご注文のピークだと思っていたのですが夏に結婚式を挙げられる方も少なくないようでオーダーの依頼が結構あります。製作に追われる毎日で忙しく過ごしております。そんな中でプラチナでシンプルな平打ちリングを作って欲しいという依頼がありました。鋳造ではなく昔ながらの鍛冶屋さん方式で作りましたので製作過程をご紹介します。
まずプラチナの地金を溶解して一塊にします。地金をシリカ製のルツボに必要な分だけ入れます。
プラチナを酸素バーナーで溶かします。溶解温度は2000℃ほどですので肉眼ではまぶしくて見えません。サングラスなどを掛けての作業を必要とします。デジタルカメラで撮影できるかどうか試してみたら一応写りました。
冷えて固まったプラチナ地金です。真ん中が凹んでいるのが解ると思いますがこれがキレイに溶解できたサインです。この状態で凝固していない場合は地金の中にガスが混入していて、たたいたり伸ばしたりするときに割れてしまいます。プラチナの溶解はただ溶かせばよいのではなくて結構技術のいる作業です。
固まった地金をやっとこで挟み、金槌を使って金床の上でたたいて四角い形に成型していきます。
時々バーナーでなましながら、こんな感じになるまで金槌で成型します。
ローラーという地金を引き延ばす機械で薄くのばしていきます。
こんな感じのリング仕上がり寸法と同じくらいの板状の物を作ります。この板を計算によりはじき出した指のサイズ分の長さにカットします。
円柱型に凹んだ金床の上で指輪の形に成型していきます。
こんな感じで丸く成型できます。やっとこで曲げていくことも出来ますがやっとこを使うとリングの内側にやっとこ傷が付くのでなるべく使わないようにしています。
つなぎ目をすき間無くピッタリ合わせてこの後、溶接作業です。
溶接には共付けに近い状態で行います。普通のプラチナローを使うと幅の広いリングの場合、溶接箇所にロー目と言われるスジが目立つので使いません。共付け作業は本体のプラチナが溶ける寸前の温度まで加熱しなければいけないので本体が溶けないようにかなり慎重におこないます。
溶接がキレイに出来ました。
指輪を芯がねと言われる棒状の工具で真円にし、注文いただいた指のサイズにピッタリ合わせます。この後ヤスリで成型し、仕上げていきます。
プラチナの仕上げには昔ながらのヘラと呼ばれる工具を使います。このヘラは地金の表面に押しつけながらこするような感じで使います。そうすることによって地金の表面が加工硬化し引き締まって固くなります。ヘラを使うのと使わないのでは仕上げの光沢が全然違います。
仕上がりの写真です。地金の表面に曇りが無くキレイに光沢が出ています。単純な指輪ですが、このような平面で構成された指輪は仕上げに高度が技術を要します。
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先代からのお得意様が来られました。ビニール袋に入ったたくさんの真珠を持ってきて「姪っ子にあげようと思うからこの中から良いのを使ってピアスを二組作って!」と頼まれました。ここ徳島では昔、真珠の養殖なども盛んだったようでそのとき残った物をたくさん持っているらしいのです。その一部を持ってきてのご注文です。
大きさがバラバラで色もそろっているのがなかったのですが何とか良く似たものを二組抜粋しました。
K18でのご注文です。まず事前に作り置きしているK18の直径0.8mm丸線でピアスの芯を作ります。適当な丸線がなければその都度作ります。丸線の作り方は機会があればまたご紹介します。
丸線をピアスの芯の長さ(約10mm)にカットしてキャッチが止まるミゾをヤスリで作ります。
二組分作った物がこれです。同じ長さでミゾの位置もキレイに揃えます。
次に芯にパールを固定するための、おわんのようなパーツを作ります。板状のパーツに芯を通すための穴を開けます。その穴の位置決めをしています。
芯の太さ0.8mmのドリルで穴を開けていきます。
穴を開けた物をハサミでちょきんとカット!
この小さいパーツをヤスリでキレイに丸くします。とっても小さいCDのような形です。
CDのようなパーツを少しおわん型にする作業です。
CDのようなパーツを芯に通してロー付けします。パーツが細かいのでロー付けの際、気をつけないとパーツ全体が高温になりすぎて溶けてしまいます。
ロー付けした物をキレイに磨きます。
パールをのり付けするために固定します。
パール用接着剤を付けてパールを差し込んで動かないように半日ほど乾かします。
これで完成です!パールの色が多少違いますが余ったパールを使うので仕方がないと、お客様のご了承済です。
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