オーダーメイドの結婚指輪・マリッジリングの彫金日誌です。single-diary-php
こんにちは
先日、父の知り合いからダイヤリングのリフォームを頼まれました。
シンプルな造りと、細かいパーツの組み合わせの為、キャストは使用せず全て手作りで制作することにしました。
その行程を、少しご紹介したいと思います。
まず、デザイン画ですが、このようなペンダントのトップを制作します。
リフォームのためにお預かりした指輪はこの2本です。すでにダイヤははずした状態で撮影しています。この2つのダイヤを使ってペンダントトップにするわけです。
それぞれのダイヤの大きさに合わせて石座を作っていきます。プラチナで細長い板状の物を造りその板を丸めて溶接します。接合部はローを使用せず、レーザーで共付けにします。
共付けにする理由はこの後で爪をロー付けしていくときにローが引けてしまわないようにするためです。
石座に爪を付けます。爪を付けた段階でへらがけまで済ましておきます。間に丸カンをいれて石座が揺れるように作っていきます。
同時にネックレスを通すための金具も作っていきます。この金具もプラチナの板を曲げて作ります。接合部は当然レーザー溶接による共付けです。
出来た金具にダイヤを石留めしていきます。ダイヤの位置に正確に穴を空けます。石留めはタガネで彫って留めていきます。
メインのダイヤ2連部分のダイヤも爪で留めておきます。ダイヤが留まった後、ヤニ台からパーツをはずすのはいつも苦労します。なぜならヤニは火であぶって柔らかくするのですが、ダイヤに火があたらないようにあぶらなければならないからです。
私の場合は水を染みこませた人工石綿を、ダイヤに被せて周りをあぶります。
ダイヤの部分とネックレスを通す金具、それぞれが出来上がりました。
この2つのパーツを繋いで完成ですが、最後のレーザー溶接です。
写真の赤丸部分は溶接されてなく、パーツを繋ぐ時この部分を開いて繋ぎます。
造りの悪い既製品のペンダントに良くあるのですが、この部分が溶接されないまま製品として販売されている商品があります。この部分が溶接されていないといつの間にか開いてしまい。大事なダイヤの部分がいつの間にか無くなっている!と言ったことになりかねません!
最近もこの部分が開いて先の部分を無くしかけたと言うお客様が修理に持ってこられました。皆さん気をつけましょう!!
職人さんによって方法は色々ありますが、
ダイヤなどを留める前に全ての溶接を済ませてから石留めする方法。と
今回のようにダイヤを留めてしまって最後に溶接する方法。です。
今回の場合、後者の方法ですが、金具にも彫り留めでダイヤを埋め込むのでパーツを分けておいた方が、ヤニ台への固定、ダイヤの彫り留めが容易だからです。
以前、レーザー溶接機が無いときは最後にロー付けするのにかなり神経を使って慎重にしなければいけませんでしたが、今は、レーザー溶接機がありますので簡単こなすことが出来ます。
レーザー溶接機内の写真です。
すごく細かい部分ですが、レーザーなら難なくこなしてくれます。しかも共付けなので強度も抜群です。
ビームの強さ、時間、大きななどを調整して溶接します。手作りの場合かなりレーザー溶接を多用した造りになっています。今では無くてはならない機械となっています。ロー付けよりも強度がある共付けですし、火では溶接できない部分の溶接も出来るので、不可能が可能になる機械です。
そして完成したのがこちらです。
少し足早にご紹介しましたが、手作りペンダントの場合このような行程で製作していきます。
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