オーダーメイドの結婚指輪・マリッジリングの彫金日誌です。single-diary-php
6月に結婚式を挙げられる方が多いので4月、5月がマリッジリングのご注文のピークだと思っていたのですが夏に結婚式を挙げられる方も少なくないようでオーダーの依頼が結構あります。製作に追われる毎日で忙しく過ごしております。そんな中でプラチナでシンプルな平打ちリングを作って欲しいという依頼がありました。鋳造ではなく昔ながらの鍛冶屋さん方式で作りましたので製作過程をご紹介します。
まずプラチナの地金を溶解して一塊にします。地金をシリカ製のルツボに必要な分だけ入れます。
プラチナを酸素バーナーで溶かします。溶解温度は2000℃ほどですので肉眼ではまぶしくて見えません。サングラスなどを掛けての作業を必要とします。デジタルカメラで撮影できるかどうか試してみたら一応写りました。
冷えて固まったプラチナ地金です。真ん中が凹んでいるのが解ると思いますがこれがキレイに溶解できたサインです。この状態で凝固していない場合は地金の中にガスが混入していて、たたいたり伸ばしたりするときに割れてしまいます。プラチナの溶解はただ溶かせばよいのではなくて結構技術のいる作業です。
固まった地金をやっとこで挟み、金槌を使って金床の上でたたいて四角い形に成型していきます。
時々バーナーでなましながら、こんな感じになるまで金槌で成型します。
ローラーという地金を引き延ばす機械で薄くのばしていきます。
こんな感じのリング仕上がり寸法と同じくらいの板状の物を作ります。この板を計算によりはじき出した指のサイズ分の長さにカットします。
円柱型に凹んだ金床の上で指輪の形に成型していきます。
こんな感じで丸く成型できます。やっとこで曲げていくことも出来ますがやっとこを使うとリングの内側にやっとこ傷が付くのでなるべく使わないようにしています。
つなぎ目をすき間無くピッタリ合わせてこの後、溶接作業です。
溶接には共付けに近い状態で行います。普通のプラチナローを使うと幅の広いリングの場合、溶接箇所にロー目と言われるスジが目立つので使いません。共付け作業は本体のプラチナが溶ける寸前の温度まで加熱しなければいけないので本体が溶けないようにかなり慎重におこないます。
溶接がキレイに出来ました。
指輪を芯がねと言われる棒状の工具で真円にし、注文いただいた指のサイズにピッタリ合わせます。この後ヤスリで成型し、仕上げていきます。
プラチナの仕上げには昔ながらのヘラと呼ばれる工具を使います。このヘラは地金の表面に押しつけながらこするような感じで使います。そうすることによって地金の表面が加工硬化し引き締まって固くなります。ヘラを使うのと使わないのでは仕上げの光沢が全然違います。
仕上がりの写真です。地金の表面に曇りが無くキレイに光沢が出ています。単純な指輪ですが、このような平面で構成された指輪は仕上げに高度が技術を要します。
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