オーダーメイドの結婚指輪・マリッジリングの彫金日誌です。single-diary-php
先日とってもオシャレなお二人にご注文いただいておりましたマリッジリングが完成いたしましたのでアップいたします。「結婚式まであと数日ですね!末永くお幸せに!」
作りはシンプルに逆甲丸形で、メンズとレディスで幅を変えての製作です。メンズリングの内側にはレーザー彫刻でオールドゴシック文字を刻み、ブルーダイヤを1石埋め込んでいます。レディスリングの内側にはレーザーで英語の筆記体の文字、ピンクダイヤを2石埋め込んでいます。リングのフォルムは同じですが文字のフォントを変えることによってメンズは力強く、レディスはエレガントな感じのイメージに仕上がりました。
今回はこの結婚指輪の製造工程を写真にてご紹介します。
このリングの場合手作業でワックスを削っても良かったのですがより正確にリングの原型を製作するために3Dグラフィックでモデリングを行い、3D切削機を使って原型を製作いたしました。リングの幅は違いますが全く同じ形で幅が違うものが削れます。原型を作る場合、原型の製造時間を計算して3D切削機を使うか使わないか判断します。長年の経験により手作業で作った場合の作業時間を見積もりし、モデリングした場合の作業時間を見積もり、どちらが早くできるか判断します。3D切削機を使う場合のメリットは、3Dモデリングデータさえ作ってしまえば手作業ではとうてい作ることが出来ないような正確さと精密さを要する原型を作れることと、機械が切削している間、別の作業が出来ることです。
3Dモデリングデータを作るのは貴金属彫金の事が解っていて、かつ、コンピュータの知識も卓越したものでなければ出来ません。どちらかが欠けていても良いものは出来上がりません。両方が出来る人はまだ日本にはそんなに居ないでしょう。
こちらはプラチナで鋳造直後の写真です。プラチナはほとんど熱によって酸化しないのでこんなに白くキラキラ輝いています。
リングの表面に一部、巣と言われるキズの様なものが出来ています。これは地金を溶解したときに発生するガスなどが原因でどんな良い鋳造機を使っても完全に無くすことは不可能なものです。当店では真空加圧鋳造機を使って真空状態にしてガスの発生を抑えて鋳造するのですがやはりたまに巣と呼ばれるものが表面に出来てしまいます。
巣をそのまま削って無くすことが出来るのですが深い巣を削ってしまうと巣の深さ分地金を削ってしまうことになるのでリングの厚みが変わってしまいます。そんな時当店ではアーク溶接機を使って巣の出来た所をスポットで溶解し、巣を埋めています。
こんな感じで巣のあった部分だけ一瞬にして溶かして穴を埋めています。
解りやすく拡大してみました。
こちらが巣を埋める前です。
こちらが巣を埋めた後の写真です。電流の強さで溶かす面積や深さを調節します。一瞬にして5000℃ほどになるらしく解けた場所が水の波紋のような感じで解けて固まったようになっています。アーク溶接機を導入していない頃は巣埋め用のロウなどを使って手作業で一つ一つ埋めていて大変時間が掛かったのですがアーク溶接機があると簡単に素早く出来て、母体の地金を溶かして埋める共付けなのでロー目なども出ません。大変重宝しております。
こちらがキレイに仕上げた写真です。この後内側にダイヤモンドとレーザー彫刻が入ります。
内側の加工を施して完成です!
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