オーダーメイドの結婚指輪・マリッジリングの彫金日誌です。archive-diary-php
新しくハンドモーターを購入いたしました。今までの物が壊れたわけでも無く、仕上げのバフ掛けなどは充分作業できたのですがただひとつ不便に思っていることがありまして、購入することにしました。その作業はドリルでの穴あけと、石留めの際に石の大きさに合わせて穴を広げるストーンセッティングです。
今までのハンドモーターは最小回転数が3500回転でしたが特にストーンセッティングの場合は回転数が早すぎるため、ドリルをピンバイスにセットして手でグリグリと穴を広げていました。手での作業は結構時間が掛かり、効率が良くありませんでした。新しいハンドモーターは最小が1000回転で低回転でもトルクがあります。
このハンドモーターは業界では定評のあるNAKANISHIの機械です。正逆回転が出来るため、磨いたり削ったりするときに威力を発揮します。また回転数がデジタルで表示されるため同一条件での正確な作業が出来ます。さらに、フィードバック機能という物が付いていてモーターに負荷が掛かると普通は回転数が落ちるのですが、落ちようとする回転数を一定の回転数に戻そうとする回路です。
本体のスイッチ以外にハンドピース部分にもON/OFFスイッチが付いています。無くてもいいんじゃないの?と言われそうですがこれが意外と重宝します。私の場合、対象物とハンドピースを持って両手がふさがった状態でスイッチを操作しなければならない状況になるときがあります。そんな時このスイッチを机の角などで押すことが出来ます。フットスイッチを付けても同じなのですが足下が結構ごちゃごちゃしているのでフットスイッチは付けないことにしました。ハンドモーターの中でも結構高価で12万円ほどしますが作業効率が上がれば文句なしです。
こちらの作業机も新調いたしました。
以前鋳造した物がまだ仕上がっていませんが作業を平行して本日もマリッジリングを2組鋳造しました。仕上げの作業と、ワックス原型製作、鋳造を平行して行っています。明日も朝一でもう一組マリッジリングをプラチナで鋳造する予定です。
順調に作業が進められるようになりましたらネットでのオーダーメイド相談も再開する予定ですのでもうしばらくお待ち下さい。
オーダーメイド結婚指輪製作blog
今日は朝からプラチナの鋳造からはじめました。最近は前日夜に電気炉のプログラムをセットし、朝から鋳造を始められるようにしております。今日はプラチナを2缶鋳造する予定でした。いつものように鋳造機のスイッチを入れ、プラチナ地金をセットし、真空ポンプ、コンプレッサーを起動して、いつものタイミングで地金を流し込みました。
が、・・・!?あれっ。鋳造機の圧力計の目盛りが加圧方向に振れません。私の使っている鋳造機は真空加圧鋳造機と言って加熱中真空状態にし、地金を加圧して原型空洞内に流し込むという物なのですが、地金を流し込むタイミングで加圧されていないようです。バルブは全て繋がっているようですし、壊れたか?しかし、よく見るとコンプレッサーに繋がっているバルブが鋳造機に繋がっているパイプではなく、他の機械に繋がっているパイプでした。コンプレッサーを兼用で色々な機械に使っているので鋳造機に繋ぎ直すのを忘れていたようでした。以前にもつなぎ忘れてリングをお釈迦にしたことがあったので頭の中が真っ白になりました。
また一から原型の作り直しか(>o<)まいったな。と思いながらまだ流し込まれた地金が真っ赤な状態のままバケツにどぼん。それから5秒ほどでしょうか?グツグツ。ドッカーーーーン!!地金が全く冷めない状態のままバケツに入れてしまったので水蒸気爆発が起きて、そこら中水浸しで頭まで水をかぶってしまいました。Wでやっちゃった感じ。急いで鋳造した地金を探しましたが見つかりません。なんとワイシャツの胸ポケットの中に有りました。爆発で飛ばされたようです。驚きました。
バケツの水は埋没材の石膏の混じった水なので水浸しになったところは乾くと真っ白になりました。むろん私自身も真っ白になりました。これから気をつけます。
しかし、幸いなことにコンプレッサーで加圧されなかったにもかかわらず鋳造はしっかり出来ていました。ほっとしました。(^^)v 加圧無しでも温度とタイミングによって鋳造はキレイに出来るみたいです。
先日ワックス原型を作ったクジラのマリッジリングです。巣もなくキレイに出来てほんとに安心しました。
先日2度目のご来店のお客様がご自分でデザインを考えて来られました。この絵はお客様が描いて持ってきていただいた物です。ボールペンでさらりと描いた物ですがプロが描いたような絵で驚きました。もともと絵心のあるお客様のようで、特に手直しするところもなくこのままのデザインでお作りする事になりました。
オーダーメイド結婚指輪製作blog
緩やかにウェーブさせたブルーのラインを入れたマリッジリングが完成いたしました。形はストレートで4.3mm幅!この4.3というのはお二人のご希望で、お二人だけの秘密の数字です。製作工程を少しご紹介いたします。
ワックス原型の製作は昨日のブログでご紹介の用にジュエリーCADでモデリングし、コンピュータ切削いたしました。この方法で作るとブルーカラーを入れるための波打ったラインが正確にキレイに出来上がります。
プラチナで鋳造した直後です。巣もほとんど無くキレイに出来上がりました。ツリーから切り離してキレイに表面を磨いて仕上げていきます。
キレイに仕上げてから溝の部分にジュエリーカラーを流し込んでいきます。溝からはみ出さないように慎重に流し込みます。
このブルーのカラーは半透明の色で溝のそこの部分をキレイに光沢を出しておくと光の反射でとても美しい色合いになります。
カラーが硬化するまでしばらく乾かします。白いパイプにはまっているのが指輪です。
キレイな光を放つブルーラインの入った結婚指輪の完成です。二つを合わせると透かしのハート模様が浮かび上がります。
最近オーダーの注文がとても忙しくすべての作業を私一人でこなしているのですが、製作以外の作業がおろそかになってしまっています。当店のオーダーメイドのすべての作業は少し彫金をかじった程度の技術ではなかなか難しく、また、何人かの手によって分担してしまうと人によって仕上げ方などのニュアンスが違ってくるので良い物は出来ないと思っています。
オーダーメイド結婚指輪製作blog
今回オーダーメイドマリッジリングのご依頼があったのはクジラのモチーフを指輪に入れるという物です。彼がクジラが大好きでどうしてもクジラをマリッジリングにしたいと彼女を説得していました。この指輪を製作するにあたり、ワックスの原型をジュエリーCADで製作し、コンピュータ切削しました。上の写真はモデリング段階の途中です。上がレディスで、下がメンズになります。合わせると一頭のクジラが浮き上がるマリッジリングです。写真ではリングを広げた状態ですがこれをリング上に丸めて仕上げていきます。
このジュエリーCADで製作する方法は彫金の技術とコンピュータ3Dグラフィックの知識が必要で、主に大手メーカーが使用している方法ですが、小売店規模の工房などではかなり少ないと聞きます。現に四国でこの機械を導入しているのは当店だけだそうです。ソフトで20万~30万円、コンピュータ切削機は100万円~200万円ほどします。かなり高価な物ですが機械の値段をペイ出来るかどうかわかりませんでしたがどうしても欲しくて3年ほど前に導入しました。今では指輪製作に無くてはならない存在です。
手作業では到底不可能な細かいレリーフの原型もモデリングデータさえしっかり作れば機械が勝手に作ってくれます。
メンズのワックス原型が削り上がったところです。一応機械での切削はここまでですがもっと細かく作り込むことも出来ます。ただし、データ作りに時間が掛かりすぎるので後は手作業で原型を仕上げていきます。
レディスとメンズが削り上がりました。写真ではレリーフが解りにくいですね(^^;)
もう一組3D切削しました。模様がはっきり見えるようにワックスの粉が付いたまま写真を撮ってみました。イニシャルをモチーフにNとMです。合わせるとハートが浮き上がるデザインです。
この2本を合わせてひとつのモチーフを浮き上がらせるデザインの3Dデータを作るのはかなり計算した上で無いと作れないので、ひょっとすれば当店だけでは?なんて思っています。
オーダーメイド結婚指輪製作blog
今回ご来店いただいたきっかけは、いつもお世話になっているブライダル情報誌「結婚しちゃお!」の編集部にお知り合いの方がいらっしゃるようで、その方に勧められてご来店いただきました。形はシンプルなS字ラインをベースに、落ち着いた感じのクローバー模様を入れることがご希望でした。
ホンモノのクローバーの葉の形、模様を手彫りで彫るデザインに決定いたしました。
レディスはピンクゴールドにして少しシックなイメージでオシャレに仕上がりました。
内側にはレーザーで記念日等を彫刻しております。
末永くお幸せに!
ご来店を勧めていただいた結婚しちゃお編集部様、ありがとうございました。
オーダーメイド結婚指輪製作blog
6月ごろからオーダー結婚指輪の依頼が集中していて毎日、ワックス原型製作、鋳造、仕上げに追われる毎日を忙しく過ごしております。店頭ではオーダー品以外にもブランドジュエリーなども扱っておりますので、お客様が来店されると作業を中断して接客を行っておりますから、ほとんど作業が出来ない日もあります。現在、結婚指輪の納品予定は10月以降の物が多いので助かっていますが(^^;)
本日制作中のワックス原型はかなり精密なデザインの物なのでルーペでは細かい部分が確認できず、マイクロスコープを覗きながらの細部の仕上げをしております。上の写真は英語のHをデザインした物で、メンズです。レディスと合わせるとクローバーの模様が浮かび上がるようにデザインしています。
ワックスの段階で細かいキズを除去しておくと鋳造した後の仕上げがかなり楽になり、仕上げの精度にも影響します。かなり細かい部分のキズの確認にはマイクロスコープは欠かせません。
こちらはペガサスとユニコーンをデザインした指輪で他県からのご依頼の物です。こちらも細かいレリーフなので慎重に仕上げしています。
上の写真の指輪原型を埋没して、明日の鋳造に備えて電気炉にセットしました。
電気炉のプログラムをパターン1にセットします。このコントローラーは温度管理を4パターンまでメモリー出来るので大変重宝しています。パターン1はプラチナ用のパターンをメモリーしています。
オーダーメイド結婚指輪製作blog
ブライダル情報誌を見ていただき、遠方よりのご来店誠にありがとうございました。
メンズはチョット幅が広めの5mmにしてあるので少しだけカジュアルな印象を受けます。合わせるとハートが浮き出るデザインで、レディスにはかなり高価ですが大きめの天然ピンクダイヤモンドを埋め込んであります。
こちらは埋没前のワックスツリーです。この段階でワックスの表面を艶が出るまで磨いておきます。こうすることによって地金になったときの仕上がりの手間がかからなくなります。
巣もなくキレイなプラチナの鋳肌で鋳造を終えました。
キレイに磨いて大きめのピンクダイヤと小さいホワイトダイヤをかわいらしくドット留めにしております。
それぞれのリングの表面にお互いのイニシャルの頭文字を手彫りで彫刻いたしました。
末永くお幸せに!
オーダーメイド結婚指輪製作blog
今回オーダーいただいた作品はとても初々しく、さわやかなカップルからのご依頼でした。
お二人とも共通の趣味がバスケットボール。彼女はかなり小さいときからずっと続けられていた様子で、ひとつのことをずっと続けられるというのはとてもすばらしいことだと感じました。彼の方も現役で社会人チームの一員として活躍のご様子で、お二人ともバスケットボールが生活の一部になっているようです。自分の大好きな物が二人とも共通しているなんてなんて幸せな事でしょうか。とてもうらやましく感じました。こらからもバスケットボールを通してお二人の絆を寄りいっそう深めて行くことと思います。
店頭にはたくさんのご結婚を控えた幸せなカップルたちがご来店いただいておりますが、そんなお二人の絆作りのお手伝いが出来て大変ありがたく思っております(^^)
そんなわけでバスケットボールのマークをリングの内側にレーザーで彫刻しました。
お二人共のリングに仲良くバスケットボールのマークを刻んでおります。
オーダーメイド結婚指輪製作blog